一般診療関連のQ&A

大人も一緒にみてもらえますか?

はい。親御さんがお子さんから風邪をもらってしまうことはよくありますよね。そんなときに、小児科と内科と別々のところに通うのはとても大変。当院では大人の方の風邪、花粉症等の診察も可能です。お子さんと一緒でも、大人だけでも大丈夫です。必ず診察を受ける人数分のご予約をお願いします。

どんな時、夜中でも病院に行った方がいいのかな?

初めての熱で不安になり、夜、救急病院を受診した方がいいのか。このまま自宅で眠らせていた方がいいのか不安になること、ありますよね。 実は熱が出てすぐ、医療機関を受診しても、必ずしも病名がすぐに分かるわけではありません。病気は症状が出揃い、経過が加わって診断につながります。後医は名医と言われるのはこのためです。また、早く来たからといって必ずしも早く治るわけでもありません。小児で一番多い、風邪の場合、治すのはお子さん自身の免疫力です。治るのには時間が必要です。水分をとること、可能な限り栄養をとること、そして眠ること。これが治療の基本です。夜、熱が出ても、親御さんがお子さんを見ていておかしい様子がない場合には、お子さんがゆっくり休むことを優先してご自宅で様子をみることをおすすめします。 こんな場合には受診をおすすめします。

受診をおすすめする症状

  • 吐き続ける
  • 水分がとれない
  • 咳き込みや、ゼイゼイで息が苦しそう
  • 犬やオットセイが鳴くような深い咳があり、息苦しそう
  • 痙攣が5分以上止まらない
  • 顔色がおかしい
  • 意識がおかしい
  • 生後3ヶ月未満のお子さんの熱

#8000で電話相談をすることも可能です。

子どもが薬を嫌がる。無理やりでも飲ませた方がいい?

薬を飲むのが苦手なお子さん、いますよね。我が家のこども達もそうです。長男が中耳炎になり、大量の粉の抗生物質を格闘の末にようやく飲ませた後に、全て吐かれた時の敗北感は忘れられません。
薬には飲んだ方が確実に早くよくなるお薬と、今の症状を和らげるための薬とがあります。溶連菌の抗生物質や、インフルエンザのタミフルなどは前者、風邪に処方される咳止めや痰切りは後者です。前者のお薬の場合は頑張って飲んだ方がいいでしょう。
では風邪の場合はどうでしょうか。風邪を治すのは薬ではありません。お子さんの免疫です。咳も鼻もそれほど強くなく、お子さんもつらそうではない場合には、薬を飲まなくても大丈夫です。咳で眠れない、鼻が詰まって苦しそうなどつらそうな症状があれば、飲めるといいですね。しかし、どうしてもお薬が嫌いなお子さんの場合には、長時間に渡り格闘し、無理やり飲ませて親子ともども疲れ切ってしまうくらいなら、お部屋を加湿し、鼻水をしっかり拭いてあげ、水分をこまめにとり、抱っこしてあげて安心して眠れる時間を増やしてあげた方がいいと私は考えます。

薬はどうしたら飲みやすいですか?

お薬は乳児の場合には少量の水にといて団子状に練り、上あごか頬にくっつけてあげると少しずつ飲み込んでいきます。最後に水やミルクを飲ませて下さい。薬をミルクに溶かして飲むことはミルクが嫌いになることがあり、おすすめしません。
もう少し大きくなった場合には、少量の水で溶いて液状にし、少しずつスポイトであげると飲みやすいです。水に溶く場合にも、食べ物に混ぜる場合にも、混ぜる食べ物、飲み物の量を多くしない方がいいです。お子さんが嫌がる時に、最後まで飲みきる、食べきるのが難しくなります。食べ物に混ぜる場合には、高級なアイスクリーム(チョコ味が好きな場合にはさらに分かりにくくなります)、プリンなど味の濃いものはおすすめです。このほか、ヨーグルトについてくるフロストシュガー、練乳、中にはソースでの成功例も聞いています。オレンジジュースやヨーグルトなどの酸味がある食べ物は味が強調されるのでおすすめしません。
市販のお薬ゼリーを利用することもおすすめです。お子さんに一口食べさせて安心させてから、お薬をあげるといいでしょう。この際に、お薬ゼリーを薬と混ぜてあげてはいけません。お薬ゼリーをスプーンにとり、少量の薬を入れて、またゼリーで蓋をし、薬が卵の黄身のように薬ゼリーに包まれた状態にすると味が分かりにくくなります。何回にも分けて飲ませましょう。
少し大きくなったら粒の方が得意なお子さんもいます。

どうして抗生物質が処方されないの?

当院では風邪に抗生物質は処方しません。それは風邪の原因のほとんどを占めるウイルスには抗生物質は効かないからです。それでも、安心のために飲みたいというお気持ちがあるかもしれません。ですが、抗生物質はお腹の腸内細菌も殺して、下痢が起こることがあります。下痢にならないまでも腸内細菌のバランスが壊れてしまうこともあります。腸内細菌は人間の健康にとても大事な役割を果たしています。
また、抗生物質を乱用すると、耐性菌という抗生物質が効きにくい菌が作られてしまうことがあります。本当に抗生物質を必要とした時に、効かなくなってしまう恐れがあります。
当院では以下の場合に抗生物質を使います。

当院で抗生物質を使うケース

  • 溶連菌感染症
  • マイコプラズマ感染症
  • 細菌感染が疑われる気管支炎・肺炎
  • 中等度以上の中耳炎
  • 尿路感染症
  • とびひ

熱が38.5 度に上がった。すぐ解熱剤を使う?

熱が上がると不安になりますね。「こんなに熱が高くて、頭は大丈夫でしょうか」とお思いかもしれませんが、風邪による熱であれば40度でも大丈夫です。熱が高くて、後遺症を残すのは脳炎や髄膜炎が原因の時です。髄膜炎はヒブと肺炎球菌のワクチンが普及したことにより心配は随分と減りました。脳炎も髄膜炎も頻度は少ないですが、熱が高くて意識がおかしい時にはすぐに受診してください。
では、熱が高くて意識は問題ない時にはどうすればいいでしょう。熱が上がるのは体の免疫を活性化するためです。風邪の原因のウイルスを体から排出するために、免疫が働いている証拠です。熱が上がったからといって、すぐに解熱剤を使う必要はありません。解熱剤を使ったからと言って早く病気が治ることもないですし、痙攣を予防する効果もありません。
ではどんな時に解熱剤を使うといいでしょうか。熱が高くて水分がとれない時、なかなか眠れない時には解熱剤の力を借りてもいいでしょう。
また、熱が上がってくると冷やしたくなるものですが、熱が上がっていく途中はむしろ寒く感じることがあります。手足が冷たい、ブルブル震えて、不機嫌、こんな時にはむしろ温めてあげると楽になります。熱が上がりきったあとは、1枚服を薄くする、本人の好む程度に脇の下などを冷やすと過ごしやすいでしょう。

肺炎だったのに風邪と誤診された?

「風邪だと言われていたのに」「何回も病院を受診したのに肺炎になった。」「誤診じゃないのか」肺炎は子どもの入院の原因として最も多く、以前、入院を受け持っていた時に何回か聞かれたことがあります。早く病院に行き、早く薬を飲めば肺炎にならないでしょうか。残念ながらそうではありません。
子どもの場合、肺炎はある日、突然罹るものではなく、実は風邪から始まることがほとんどです。風邪は上気道(喉から上)の炎症がウイルス感染によって引き起こされることがほとんどですが、その炎症が奥に進むと気管支炎となり、さらに奥に及ぶと肺炎になります。ウイルスの感染に加えて、細菌の感染が加わることもあります。風邪として自然に治るか、肺炎まで至ってしまうかは、体の免疫力と病原体の強さとの戦いで決まります。体格が小さく、免疫力も十分ではない乳幼児は肺炎になりやすいです。
では、子どもが風邪を引いた時に、どうすればいいでしょう。風邪を治すためには、水分をこまめにとり、可能な限り栄養をとり、ゆっくり休むこと。これにつきます。咳や鼻水でつらくて、ゆっくり休めない時には症状を和らげる薬を使うのもいいでしょう。風邪は多くの場合3日程度で治ることが多いですので、4−5日熱が続いている場合、咳が増えて息苦しそうな様子が出てきた場合には気管支炎や肺炎の疑いがありますので医療機関を受診することをおすすめします。

聴診器

喘息性気管支炎って、喘息のこと?

喘息性気管支炎は、風邪などの感染症をきっかけにして、炎症が気管支まで及び、ゼイゼイしている状態を指すことが多いです。一方、気管支喘息は普段から気管支に炎症があり、ハウスダストなどのアレルゲンや、運動、気候の変動、感染症などにより発作が引き起こされるものです。一見違う病気のようですが、実はこの二つは乳幼児の場合には区別することが難しいです。どちらも咳や鼻水に加えて、ゼイゼイした呼吸がみられます。乳幼児の喘息は風邪をきっかけにすることが多く、また一方、乳幼児はそもそも気管支が細いため、喘息でなくても風邪から簡単に喘息性気管支炎になるためです。喘息は、慢性的な炎症が気道にありますので、繰り返すことが特徴です。喘息性気管支炎をくり返し起こす場合には喘息の可能性があります。発作が頻回の場合には吸入を毎日行い、予防します。

風邪の時にお風呂に入ってもいいの?

日本人は世界に類をみないほどの風呂好きと言われます。この質問は日本だけのものかもしれません。かつての日本の家屋は浴室とその外との気温差が大きく、湯冷めがしやすい環境でした。また、お湯の温度も高く、体力も消耗しやすい環境でした。風邪の時に風呂に入ってはいけないと言われてたのは、体力の消耗と湯冷めの心配があったからです。
しかし、近年住宅環境は改善し湯冷めの心配が減り、風呂の温度調整も随分と簡単になりました。お子さんに熱があっても元気があれば、お風呂に入ることは問題ありません。お湯の温度は熱すぎないように、湯冷めをしないようしっかり拭いて暖かくしてあげると良いでしょう。ただし、お子さんが、活気がない時、つらそうな時などは無理に入る必要はありません。

お腹の風邪って言われたので、保育園に行っていい?

「お腹の風邪」と「急性胃腸炎」 お腹の風邪の方が、やさしく、軽い印象を受けますが、実は同じ状態を指すことが多いです。「ウイルス感染で嘔吐や下痢をしていること」これを「お腹の風邪」と言われることもあれば、「胃腸炎」「急性胃腸炎」「感染性胃腸炎」と診断されることもあります。どの呼ばれ方にしろ、下痢便に感染力があることには変わりありません。また、咳や鼻水といったいわゆる風邪症状に下痢と伴うことがありますが、この場合にも下痢便には感染力があります。「お腹の風邪」と言われたからと言って、下痢が続いている状態で登園することは控えましょう。どんな診断名であっても急性の下痢の場合には、食事がとれるようになり水様下痢が丸一日以上ないことが確認できるまでは、お休みしてください。

言葉が遅いけど、男の子だからかな?

言葉は1歳をすぎたころから出てくるお子さんが多いです。言葉はある日突然子どもの中から湧いて出てくるのではなく、言葉を話すまでにはいくつもの発達のステップがあります。生後2−3ヶ月頃からあやすと笑うようになり、生後5−6か月頃には喃語を話し、生後6−7か月から保護者とそれ以外の人が区別ができるようになり人見知りをして、 生後9−10か月頃からバイバイなど大人の真似をし、生後10ー11か月頃から言われたことがいくつか理解できる。こうした言語にはならないコミュニケーションの土台ができて、ようやく言葉が出てきます。お子さんの言葉が遅い場合、よく目が合い、バイバイなどの真似もできて、こちらの言っていることを理解している様子がある場合には2歳頃までは様子を見ても良いでしょう。目が合わない、模倣をしない、指示を全く理解する様子がない場合には早めに受診をしてください。

他の子のようにできない。もっと厳しく教えるべき?

もしあなたが新しいお料理にチャレンジをして、思っていた様なものができなかった時、家族から「まずい。なんでこんなもの作るんだ」って怒られたらどうでしょう。もう2度とチャレンジしたくなくなりませんか?美味しいものを家族に食べさせたいとチャレンジした気持ちは認めて欲しいですよね。料理を失敗したことを厳しく叱られても、次にうまく作ることにはつながりません。どうやって作ればいいか、正しいレシピを探し、練習することが次につながります。
子どもも一緒です。うまくいかないことは沢山あります。簡単にできてしまう子を見ると、「なぜ、うちの子は」と思うかもしれませんが、厳しく叱っても、子どもには怒られた記憶だけが残り、どうやってやればできるかは分かりません。やってみようとしたお子さんの気持ちをまずは認めてあげましょう。そして、縄跳びだったら、まずは片手で縄を回すこと、字を書くのであれば、まずはしっかり鉛筆を握り線を書くこと、嫌いな食べ物があったら、まずは一口舐めること、座っていることが難しいのなら、まずは1分座っていることなど、お子さんができる範囲の小さな目標を設定し、それがクリアできたらお子さんと一緒に喜びましょう。きっとお子さんもとても嬉しいはずです。できない場合にも取り組んだことを褒めてあげてください。小さな小さな歩みでも、重ねれば大きな一歩になります。相手を怖がらせることなく、「できるかも」と思わせながら進むのはトレーナーである親の腕の見せ所です。

何回言っても動かない。どんどん怒ってしまうけどどうしたらいいのか?

「早く片付けをしなさい」「いつまでテレビを見ているの」「何度行ったらわかるの。片付けなさいって言っているでしょう!もう!」ありがちな会話ですね。我が家でも、なかなか指示に対して動かない息子たちにイライラが募る毎日です。
「誰が片付けをしてくれるかな?」「はーい」
「おもちゃ入れ競争だ!」「やるー」
と声がけを変えて気分よく取り掛かってくれる日はしめたもの、でも大抵は子どもはやりたくないことは、言っても言っても動きません。指示を聞いてくれない子どもに繰り返し、指示をしているとだんだん感情がこもってヒートアップしがちです。
そんな時にお勧めな方法は「壊れた時計になる」方法。
自分が「壊れた時計」になったつもりで「片付けの時間です」「片付けの時間です」「片付けの時間です」
「宿題をしなさい」「宿題をしなさい」「宿題をしなさい」
子どもが動くまでひたすら同じ言葉をあえて繰り返します。そうすることで、相手を否定する言葉が出てきてしまうのを防ぐことができ、感情のヒートアップも少し和らぎます。そして、指示を聞いてくれたら、「ありがとう」「よく頑張ったね」などの取り組みを評価する一言を忘れずに。

子どもの片付け