乳幼児健診関連のQ&A

おっぱい足りているのかな?

母乳育児に夢をふくらませ、大変な出産を乗り越え、いざ母乳を飲んでと赤ちゃんを胸元に運んで、びっくり。赤ちゃんはうまく飲めないし、おっぱいは痛い。期待と現実の違いにびっくり。そんな方、実は多いです。母乳育児が軌道に乗るまでは、お母さんも赤ちゃんどちらも練習が必要で、時間がかかります。大変ですが、赤ちゃんが欲しがるたび、頻回に1日に何度でも吸わせてあげてください。赤ちゃんが吸うことによる刺激により、母乳の分泌が高まります。赤ちゃんは生まれたあと、3−5日は体重が減ります。生理的体重減少といい、正常な減少です。およそ1ー2週間をかけ元の体重に戻ります。生理的体重減少で一番減った時から計算して、1日25-30g増加していることが期待されます。しかし、母乳育児が軌道に乗るまでに時間がかかるお子さんもいますので、体重の増えが気になる場合にはご相談ください。
自宅で赤ちゃんが十分に母乳を飲めているかどうか見るポイントは、色の薄いおしっこが1日6回程度は出ること、活気があること、などが目安になります。自宅で頻回に体重を測定する必要は必ずしもありません。が、もし、不安であれば自宅にある大人用の体重計で大まかな体重を知ることもできます。裸の赤ちゃんを大人が抱っこして乗り、次に大人だけで乗って差を計算することでおおよその体重は測定できます。毎日測定するとおしっこやウンチ、哺乳などのタイミングでの上下が大きいので、3−5日おきぐらいに測定して増加しているか調べると安心でしょう。
なお、体重の1日の増加は生まれてから3か月くらいまでが一番多く、その後増加は少しずつ緩やかになっていきます。母子手帳の成長曲線の正常範囲内でカーブに沿って増えていれば順調です。

乳幼児の診療

おっぱいをあげているけど、私が薬を飲んでもいいのかな?

産後はホルモンのバランスが大きく変化し、また、その後も育児と家事で大変な毎日で、お母さん達が体調を崩すことは少なくありません。残念ながら、薬を処方する際に、母乳をあげているというと、しばらく断乳を進める医療機関はまだあります。多くの薬は「母乳への移行が報告されている」ので、投与中は「授乳を中止すること」ないしは「授乳を避けさせること」と添付文書に記載されているためです。でも、ほとんどのお薬は、「母乳中に移行するけれども、その量は非常に少ない」ことが知られています。
国立成育医療研究センターに飲んでも問題がない代表的な薬と、相談窓口があります。お母さんが熱があってしんどかったり、咳で眠れない、インフルエンザにかかってつらいなどがあれば、歯を食いしばって頑張るよりも薬の力を使って楽になり、少しでも休むことをお勧めします。

おっぱいが痛い。どうしたらいい?

母乳育児、始まるまでは想像できないかもしれませんが、痛みを伴うこともよくあります。乳首の痛みの場合には、赤ちゃんが乳首をしっかり奥までくわえて吸えていないことが原因が多いです。母子ともに楽で、かつ赤ちゃんが大きな口でしっかりくわえられる姿勢を探しましょう。乳房の痛みがある場合には、授乳回数が少なかったり、赤ちゃんがしっかり吸着ができていない、いつも同じ授乳方法で乳房の一部に母乳が残ってしまうなどが原因と考えられます。脂っこい食事やお菓子が原因で乳腺炎になるということはありません。乳房に痛みがある場合には、授乳姿勢を整え、できる限り頻回に色々な抱き方で赤ちゃんに飲んでもらうと良いです。熱を伴う場合には乳腺炎の可能性がありますので、産婦人科さんを受診することをおすすめします。夜中に痛みが強くて授乳ができない場合には、市販のアセトアミノフェン、イブプロフェンの解熱鎮痛剤を飲みながら授乳を続け、翌日受診をすることも可能です。

お勧め図書
ちょっと理系な育児 母乳育児篇

ちょっと理系な育児の本

哺乳瓶の消毒いつまで続ける?

新生児期はお子さんの感染が怖くて、いろいろなものがきれいかどうかが気になりますね。触るもの皆、消毒をしたい気持ちになるかもしれませんね。実は汚れをしっかり洗い落とさないと、消毒は効果がありません。哺乳瓶も同じです。消毒も大事ですが、一番大事なのはよく洗うことです。
哺乳瓶を消毒する習慣は国により異なります。米国では消毒をしない方が一般的なようです。CDC(米国疾病予防管理センター)では食器洗浄機で洗うことを進めています。哺乳瓶を分解して、すすぎ、食器洗浄機で高温の水を使用し、熱乾燥を加えます。取り出す前には手を洗うこと、また乾燥が十分でない場合には未使用のペーパータオルの上で乾かすことを推奨しています。このように、食器洗浄機で高温の水を使用して洗い、熱乾燥を加えた場合には消毒は必ずしも必要ないとしています。手洗いの場合、CDCでは未熟児で生まれた場合、免疫不全がある場合、3か月未満は少なくとも1日1回の消毒を推奨していますが、健康な3か月以上のお子さんの場合には、十分洗ってあれば手洗いでも消毒は必ずしも必要ないとしています。
当院では、新生児期から赤ちゃんの大変な時期を少しでもゆとりを持って過ごしてもらえるよう、このような方法を紹介しています。

皮膚にブツブツがあるけどどうしたらいい?

赤ちゃんの肌はすべすべでブツブツ一つないイメージがありますが、1か月健診で一番質問が多いのが、顔のブツブツに関する相談です。生まれて1週間前後で顔に赤または白いポツポツが出てきます。これは新生児ざ瘡という赤ちゃんのニキビです。ホルモンの影響と考えられています。2か月くらいで自然によくなってくることが多いですが、石鹸でよく洗って汚れを落としましょう。
生後数週から数ヶ月に頭や顔などに黄色いかさぶたができるのが、乳児脂漏性湿疹です。こちらもホルモンの影響と考えられています。お風呂に入る前に、オリーブオイルやベビーオイルでかさぶたを柔らかくし、よく泡立てた石鹸で洗うと良いです。無理に剥がそうとゴシゴシ洗ったりしないでください。こちらも2−3か月でよくなってくることが多いです。アトピー性皮膚炎と症状が似ていることもありますが、脂漏性湿疹はアトピー性皮膚炎にくらべ痒みが少ないです。
生まれて1−2か月は皮脂の分泌が多いですが、少し成長した3−4か月の赤ちゃんの肌は、逆に乾燥しやすくなります。特に秋生まれの赤ちゃんは乾燥が強い冬の時期に生後3−4ヶ月頃になるため、アトピー性皮膚炎の発症頻度が高いことが報告されています。生後早期からしっかり保湿を行うことをおすすめします。乾燥が強く、赤みがあるような場合には、入浴の際に石鹸を使用する頻度を減らしたり、刺激の少ない石鹸を選び、皮脂が必要以上に流れてしまうのを防ぐと良いでしょう。
乳児のアトピー性皮膚炎は、2−3か月頃から始めることが多く、顔、頭から始まることが多いです。痒みが強く、赤ちゃんは顔や頬を頻回に引っ搔いたり、頭や体を抱いてくれる人の衣類や枕にこすりつけたりします。脂漏性湿疹は顔だけが多いですが、体や手足に赤みや発疹が広がる場合、2か月以上続く場合にはアトピー性皮膚炎を考えます。ケアで一番大事なことはしっかり保湿を行うこと。痒みが強い場合には炎症を抑えるステロイドを使用します。皮膚を清潔に保つため、よく泡立てた石鹸で洗いましょう。授乳中のお母さんの食事制限はこれらのケアを十分に行っても改善がなく、かつお母さんが食べたもので赤ちゃんの皮膚症状が悪化するのが明らかな場合だけで、多くの場合不要です。乳児のアトピー性皮膚炎は2歳頃までには良くなることが多いですので少し長い目で見てスキンケアを続けて下さい。